そもそも東洋医学とは

医学は、西洋医学と東洋医学の2つに大別されます。
現代医学の根幹をなす西洋医学は、疾病の患部を特定し、投薬や手術といった人為的措置により治療する医療メソッドです。
心身を分離して捉え、特定の部位が痛むような身体的症状には身体に原因が、心が辛いとか落ち込むなどの精神的症状には精神に原因があると考えます。
多くの患者について試した治療方法のうち、平均して最も効果のあったものを採用し、原則として個体差に関係なく同じ手法を施します。

これに対し、東洋医学は心身全体のバランスを改善し、自然治癒力により疾病を治そうとするメソッドです。
針灸やあんまといった技術を使うものの外科手術は行わず、漢方薬も投与しますが化学物質を用いらない、植物を中心とした自然の素材の薬を処方します。
東洋医学は心身を一体として捉え、身体的症状と精神的症状を別々のものとして考えることはありません。
身体的症状の原因として精神的な要素も考慮し、逆に精神的症状についても身体的な原因があると考えるのです。
患者個人を全体として診るという姿勢を大切にしていると言えるでしょう。

治療方法は患者個別に考案し、万人に共通するような治療方法を求めない点も東洋医学の特徴です。
患者の個体差を重視し、多数の患者に有効だからといって全ての患者に効く治療方法があるとは考えません。
こうした東洋医学の発想は積極的に現代医学に取り入れられているとは言えませんが、漢方薬が保険適用になるなど、東洋医学を生かす試みも少しずつ進んでいます。